林息吹 生态学研究センター修士課程学生と東樹宏和 生命科学研究科教授らの研究グループは、多様な細菌種で構成される群集が微細な種組成の揺らぎや確率的な各個体の振る舞いに左右された結果、少数の代替的な群集に遷移し得る事を実証しました。
近年、医学?农学?工学にわたる広い分野で机能的な细菌丛の重要性が认知され、その制御に関心が集まっています。肠内细菌丛や农作物の収量に関わる细菌丛を制御することで、人の健康や持続的な作物栽培などを安定的に管理する事ができると考えられてきました。その一方で、多种の细菌で构成されるシステムの动态が、どの程度の再现性を持っているかを示す実証的な知见は限られており、その制御可能性は未知数でした。
本研究では、それぞれの栄养条件下で継続培养する细菌の群集を大量に準备し、各反群集内における细菌种の増减を、顿狈础メタバーコーディングと呼ばれる手法で分析しました。その结果、ある栄养条件下においては各反復がほとんど同一な群集に迁移した一方で、别の栄养条件下では各反復が少数の异なる群集(「代替的な群集」)に迁移していくことが示唆されました。加えて、异なる群集に迁移しているかどうかを判别する手法を确立し、特定の栄养成分を含む条件では各反復が代替的な群集に迁移していることを実証しました。
本成果は、细菌群集において、微细な揺らぎがその后の迁移に重要な影响を持つことを示しています。今后、このように群集を大量反復観察するアプローチが広がることで、多种细菌群集の制御可能性を决める条件を探索することや、その结果を活かした顽健な群集制御手法の开発が期待されます。
本研究成果は、2024年1月22日に、国際学術誌「ISME Communications」にオンライン掲載されました。

「细菌群集は多种?多个体を含んだ复雑なシステムです。更にその群集自体は进化がもたらす适応の帰结ではなく、それぞれの文脉で进化した各种が集合してできた、ある种の现象のようなものだと考えられます。それにも関わらず、その迁移を多数回繰り返し観察してもある程度再现性を持った动态が観察されるという事実は、非常に兴味深いと感じています。」
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【书誌情报】
Ibuki Hayashi, Hiroaki Fujita, Hirokazu Toju (2024). Deterministic and
stochastic processes generating alternative states of microbiomes. ISME
Communications, 4(1):ycae007.