陆上植物は、藻类の一种を共通祖先として进化してきましたが、コケ植物と、花を咲かせる被子植物では生殖细胞の発生の様式が大きく异なります。被子植物では、雌しべに生じる胚のうの中に卵细胞と中央细胞を、また雄しべで生じる花粉の中に精细胞をつくりますが、コケ植物では、造卵器?造精器とよばれる生殖器官を形成し、その中にそれぞれ卵细胞と鞭毛をもつ精子をつくります。これらの组织の発生と生殖细胞の分化のメカニズムは、未だ多くの部分が不明のままになっています。
包昊南 生命科学研究科研究員(研究当時:同博士課程学生)、孫芮 同研究員(研究当時:同博士課程学生)、岩野恵 同研究員、吉竹良洋 同助教、山岡尚平 同准教授、河内孝之 同教授らのグループは、安喜史織 奈良先端科学技術大学院大学助教、梅田正明 同教授、西浜竜一 東京理科大学教授らと共同で、コケ植物のゼニゴケが、被子植物の胚乳の元になる細胞である中央細胞の分化に関わるCKI1遗伝子と相同な遗伝子を用いて、造卵器の発生において卵细胞のもとになる细胞の分化を制御していることを発见しました。颁碍滨1を介したメカニズムは、陆上植物の共通の祖先において诞生し、约4亿7000万年前に分かれて进化してきた被子植物とコケ植物において、それぞれの雌の生殖细胞の分化に重要な役割を果たしてきたと考えられます。
本研究成果は、2024年1月31日に、国際学術誌「Current Biology」にオンライン掲載されました。

「この研究は、『裸子植物イチョウの雌性配偶体で被子植物の中央细胞の起源を探す』という内容の论文を研究室セミナーで绍介したことから始まりました。中央细胞の起源を探し求め、ゼニゴケで进化的に保存されたシグナル伝达経路を発见することができました。被子植物の中央细胞分化を制御するシグナル伝达と相同な経路が、ゼニゴケの卵细胞発生にも重要な役割を果たしていることは、大変兴味深いことです。」(包昊南)
「中央细胞は种子の栄养を蓄える胚乳の生みの亲とも言える细胞です。中央细胞の発生に重要とされる遗伝子が、见かけも大きく异なるコケ植物の造卵器発生に関わるとは思いもよらないことでした。陆上植物の生殖细胞の発生の仕组みには进化に秘められた共通性があるのかもしれません。」(河内孝之)
【顿翱滨】
【书誌情报】
Haonan Bao, Rui Sun, Megumi Iwano, Yoshihiro Yoshitake, Shiori S. Aki, Masaaki Umeda, Ryuichi Nishihama, Shohei Yamaoka, Takayuki Kohchi (2024). Conserved CKI1-mediated signaling is required for female germline specification in Marchantia polymorpha. Current Biology.