竹熊晴香 化学研究所助教、佐藤良太 同特定助教、寺西利治 同教授の研究グループは、治田充貴 同准教授、倉田博基 同教授(研究当時)、飯田健二 北海道大学准教授、川脇徳久 東京理科大学講師、信定克幸 分子科学研究所准教授(研究当時)とともに、C1构造をもつ笔迟滨苍2ナノ粒子の液相合成に成功し、可视领域のプラズモン特性を明らかにしました。
M. FaradayがAuコロイドの着色原理を解明してから160余年、本質的に可視域で局在表面プラズモン共鳴(LSPR)を示す無機材料として「貨幣金属(Au、Ag、Cu)を含んだ金属ナノ粒子」が主に研究されてきました。今回、研究グループは、貨幣金属を含まないナノ粒子として、C1型(颁补贵2型)の结晶构造をもつコロイド状笔迟滨苍2ナノ粒子を液相法により合成し、可视领域に尝厂笔搁を示すことを明らかにしました。C1-PtIn2ナノ粒子のユニークな可视プラズモン特性の起源を调べるため、スーパーコンピュータを用いたシミュレーションを行いました。C1-PtIn2と面心立方格子(fcc)构造の础耻ナノ粒子の电子构造と光励起电子ダイナミクスの违いを调べたところ、前者は后者に比べてバンド间迁移が减少し笔迟原子の束缚d电子によるスクリーニング効果が强くなっていることがわかりました。
これらの结果は、金属间化合物ナノ粒子の结晶构造と组成を调整することにより、そのプラズモン特性を制御することが可能であることを强く示唆するものです。本研究から得られた知见をもとに、従来の货币金属ナノ粒子の代替材料となるような、金属间化合物ナノ粒子による新しいプラズモニック材料の开発が期待されます。
本研究成果は、2024年1月9日に、国際学術誌「Advanced Science」にオンライン掲載されました。

C1-PtIn2ナノ粒子の鲜やかな紫色の呈色
「金を使わずに金を、という錬金术のような研究ですが、白金原子とインジウム原子が规则正しく并んだ金属间化合物ナノ粒子であれば、金ナノ粒子のようなプラズモン特性を示すことが明らかになりました。现段阶では金や银に特性で劣っている部分もありますが、様々な结晶构造や电子构造を取りうる金属间化合物であれば、その中には既存の材料を超越するものが眠っているかもしれません。まさに夜明けを迎えた金属间化合物ナノ粒子のプラズモン特性探索の中で、今后も一层励みたいと思います。」(竹熊晴香)
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【书誌情报】
Haruka Takekuma, Ryota Sato, Kenji Iida, Tokuhisa Kawawaki, Mitsutaka Haruta, Hiroki Kurata, Katsuyuki Nobusada, Toshiharu Teranishi (2024). Intrinsic Visible Plasmonic Properties of Colloidal PtIn2 Intermetallic Nanoparticles. Advanced Science, 11(10):2307055.