年齢は、生物を理解するうえで重要な情報です。しかし、多くの生物種に適用可能な標準化された年齢推定法はまだ存在しません。近年、DNAメチル化率を指標とした年齢推定法の開発が進んでいますが、高コストな測定機器を用いて長時間を要するため、実用化には至っていません。新井花奈 理学研究科博士後期課程学生、斉惠元 同博士後期課程学生、村山美穂 野生動物研究センター教授は、アジアゾウのDNAメチル化率から年齢を推定する手法を、コストパフォーマンスの高いメチル化感受性 高精度融解分析(Methylation-sensitive high-resolution melting: MS-HRM)を使用して開発しました。
动物の年齢推定には、长期间の记録や捕获や死后の骨や歯の観察を必要とする方法が一般的であり、アジアゾウのような长寿の种の年齢推定はきわめて难しいのが现状です。本研究では、2つの遗伝子领域のメチル化率と年齢に有意な相関があることを示しました。この手法は他の动物种の年齢推定にも応用が期待されます。本研究は、国内の饲育动物园の协力のもと実施しました。
本研究成果は、2023年12月11日に、国際学術誌「PLoS ONE」にオンライン掲載されました。

「アジアゾウは生态系の不可欠な一部です。その保全には、ゾウに関する情报をより深く理解することが欠かせません。その中でも年齢推定は重要な要素ですが、これまでの方法は高コストでした。本研究では、低コストな方法を用いて顿狈础メチル化による年齢推定モデルを构筑することに成功しました。これにより、多数のサンプルを短时间で解析できるようになりました。今后は、このメチル化を健康やストレスの指标としても活用することを探求していきます。このような知见を积み重ね、アジアゾウの未知の领域に踏み込み、共存への新たな道を切り拓いていきたいと思います。」(新井花奈)
【顿翱滨】
【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】
【书誌情报】
Kana Arai, Huiyuan Qi, Miho Inoue-Murayama (2023). Age estimation of captive Asian elephants (Elephas maximus) based on DNA methylation: An exploratory analysis using methylation-sensitive high-resolution melting (MS-HRM). PLOS ONE, 18(12): e0294994.