縺(もつ)れ结晶で现れる多重超伝导状态の性质を解明

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 尾方司貴 理学研究科修士課程学生(研究当時)、金城克樹 同博士課程学生(研究当時)、北川俊作 同助教、石田憲二 同教授の研究グループは、ドイツのマックス?プランク研究所(MPI)ドレスデンのグループと共同で、局所的に空間反転対称性が破れた「縺れ」結晶に起因した特殊な多重超伝導相の微視的性質を世界で初めて明らかにしました。

 近年、特殊な结晶构造が生み出す超伝导状态や磁気状态に注目が集まっています。颁别搁丑2As2は、結晶構造自身は空間反転対称性をもっていますが、超伝導や磁気的性質に重要なセリウム原子サイトでは空間反転対称性が破れている特殊な結晶構造(縺れ結晶)を有しています。このような結晶では、結晶構造に起因した副格子の自由度によって2種類の超伝導状態が実現することが栁瀬陽一 理学研究科教授のグループの理論から指摘されていました。ごく最近になって、MPIドレスデンのグループから理論と比較可能なCeRh2As2の発见が报告されたものの、その超伝导状态の性质については报告されていませんでした。

 本研究グループは、颁别搁丑2As2に対して超伝导状态のスピン磁化率を测定し、2种类の超伝导状态が共にスピン一重项超伝导であることを明らかにしました。さらに、超伝导相内部に现れる反强磁性が低磁场の超伝导1相とのみ共存することも発见しました。

 本研究成果は、磁场に対して强い超伝导状态を実现する上で重要な知见を提供することが期待でき、复数の超伝导相を持つ新しい材料やその潜在的な応用の探求につながる可能性があります。

 本研究成果は、2023年4月20日に、国際学術誌「Physical Review Letters」誌にオンライン掲載されました。さらに、本論文はEditors' suggestion(注目論文)にも選定されました。

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今回の研究で明らかにした颁别搁丑2As2超伝导相図

研究者のコメント

「颁别搁丑2As2は、110年以上の超伝导研究の中で初めて见つかった副格子自由度に起因する超伝导多重相をもつ物质です。また、超伝导1相の内部のみに反强磁性秩序が実现する点も非常に珍しいです。多彩な物理が跃动する縺れ结晶をもつ颁别搁丑2As2の超伝导に今后もご注目ください。」(北川俊作)

研究者情报
研究者名
北川 俊作
研究者名
石田 憲二
书誌情报

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【书誌情报】
Shiki Ogata, Shunsaku Kitagawa, Katsuki Kinjo, Kenji Ishida, Manuel Brando, Elena Hassinger, Christoph Geibel, Seunghyun Khim (2023). Parity Transition of Spin-Singlet Superconductivity Using Sublattice Degrees of Freedom. Physical Review Letters, 130(16):166001.