ハマウツボ属植物で初めて鸟による访花を観察―小笠原诸岛における送粉生态系の进化―

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 西村明洋 理学研究科博士課程学生と髙山浩司 同准教授の研究グループは、小笠原諸島の固有植物であるシマウツボおよびそれに近縁な広域分布種のハマウツボについて送粉者の調査を行い、小笠原諸島における送粉生態系の進化を発見しました。

 陆上植物の有性生殖には花粉を运ぶ送粉者の存在が重要な役割を果たしています。大陆から海で隔离された环境である海洋岛は、送粉者となりうる动物相が大陆と大きく异なっています。そのため、送粉者シフトと呼ばれる送粉生态系の変化がしばしば见られ、その结果、花などの繁殖形质に特异な进化が起こることが知られています。

 本研究では、小笠原诸岛の固有植物シマウツボ、ならびに大陆产の近縁种であるハマウツボについて、送粉者観察、花形质観察および送粉者除去実験を行い、シマウツボの繁殖生态を调べました。その结果、シマウツボとハマウツボはどちらも自殖と送粉者による他家受粉を行っている可能性が示されました。さらに、これまでハマウツボ属の植物では昆虫による送粉しか知られていませんでしたが、シマウツボには鸟が访花していることを発见しました。本研究は、ハマウツボ属植物において鸟が访花することを観察した世界で初めての报告になります。今回の研究で示されたシマウツボと近縁种の送粉者の相违は、送粉生态系に関する进化の情报が乏しかった小笠原诸岛における送粉者シフトの重要な事例となります。

 本研究成果は、2022年10月4日に、国際学術誌「Plant Species Biology」のオンライン版に掲載されました。

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本研究の概要図

研究者のコメント

「小笠原诸岛では日本本土や他の大陆とは异なる独自の环境?生态系を観察することができ、魅力的な植物が多く生育しています。しかし、その进化の歴史は今なお不明な点が多く残されています。そうした中でもとりわけ谜だらけな寄生植物シマウツボを调査することで、海洋岛における送粉者シフトの実态を捉えることができました。シマウツボは出现时期が短く、栽培することもできないため、调査には非常に长い时间がかかりましたが、地道な送粉生态学的调査から希少な固有种の进化の実态を垣间见ることができ、とても嬉しく思います。」(西村明洋)

研究者情报
研究者名
髙山 浩司
书誌情报

【顿翱滨】

【书誌事项】
Akihiro Nishimura, Koji Takayama (2023). First record of potential bird pollination in the holoparasitic genus Orobanche L.. Plant Species Biology, 38(1), 6-17.

メディア掲载情报