冲真弥 医学研究科特定准教授、大川恭行 九州大学教授らの研究グループは、光単離化学(Photo-Islation Chemistry=PIC)という技術を開発し、非常に小さな細胞集団や細胞の中の微小構造体で機能する遺伝子を光照射により検出することに成功しました。
ヒトやその他の多细胞生物は少なくとも100种类以上の细胞タイプから构成され、空间的な配置や场所によってさらに细分化された机能や特性を持つことが知られています。一方で、これらの细胞を臓器や组织から取り出すと本来の特性を失うため、组织を破壊することなく特定の细胞のみを解析する必要がありますが、従来の手法では不可能とされてきました。
本研究グループは、半导体製造工程の光による超微细加工技术をヒントに、光を照射したエリアからのみ、遗伝子の発现情报を取り出す(=単离する)技术を开発しました。笔滨颁と名付けられたこの技术により、脳のさまざまな领域に光を照射して、领域ごとに働きが异なる遗伝子のみを検出することに成功しました。さらにマウス胎児の非常に小さな细胞集団や、従来不可能であった细胞内の1000分の1ミリ以下の微小构造体からも遗伝子を网罗的に検出することができました。
空间オミクスと呼ばれる研究分野の成果である本技术分野は、现在、国际的な开発竞争が激化しています。こうした技术の多くは、利用に高额の费用を要しますが、笔滨颁は既存の遗伝子解析手法にたった数百円追加するだけで実施できるため、国际的な普及が见込まれる日本発の独自技术です。今后、この技术によってがんや颁翱痴滨顿-19による炎症など、正常と异常な细胞が入り混じった临床组织の病理诊断への応用が加速すると期待されます。
本研究成果は、2021年7月21日に、国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

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Mizuki Honda, Shinya Oki, Ryuichi Kimura, Akihito Harada, Kazumitsu Maehara, Kaori Tanaka, Chikara Meno, Yasuyuki Ohkawa (2021). High-depth spatial transcriptome analysis by photo-isolation chemistry. Nature Communications, 12:4416.