竹食サル類の苦味感覚の進化を解明 -竹が先か苦味が先か-

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 今井启雄 霊長類研究所教授、糸井川壮大 同研究員、早川卓志 北海道大学助教らの研究グループは、マダガスカル島に生息する竹食性キツネザルの苦味受容体を解析した結果、これらのサルでは進化の過程で苦味感覚を減弱したことを発見しました。

 苦いという感覚は、舌の上にある苦味受容体に苦味物质が结合したときに起こり、动物は本能的に苦いものを避けます。一方で、パンダのように他の动物が食べない苦い植物を主食とする动物も知られています。本研究グループは、サルの仲间のうち竹食に特化したグループに着目しました。

 マダガスカル岛のタケ类には、多くの哺乳类にとって有毒で苦味を呈する青酸化合物が大量に含まれます。しかし、この岛には、こうしたタケを主食とするサルが复数种栖息しています。本研究では、これらのサルについて、罢础厂2搁16と呼ばれる青酸化合物等を受容する苦味受容体の反応性を培养细胞系で解析した结果、それぞれの种で苦味感覚が减弱していることを発见しました。また、减弱の程度が种によって异なっていたため、その原因となるアミノ酸変异を探した结果、种ごとに异なる変异が苦味受容体の机能を减弱させていることがわかりました。つまり、彼らは平行进化によって竹の苦味を感じにくくなったと考えられます。

 本研究成果は、2021年4月14日に、国際学術誌「Proceedings of the Royal Society B」のオンライン版に掲載されました。

(左)竹を食べるハイイロジェントルキツネザル(c)糸井川壮大(右)本研究のまとめ
図:(左)竹を食べるハイイロジェントルキツネザル(肠)糸井川壮大、(右)本研究のまとめ
研究者情报
研究者名
今井启雄
书誌情报

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Akihiro Itoigawa, Fabrizio Fierro, Morgan E. Chaney, M. Elise Lauterbur, Takashi Hayakawa, Anthony J. Tosi, Masha Y. Niv, Hiroo Imai (2021). Lowered sensitivity of bitter taste receptors to β-glucosides in bamboo lemurs: an instance of parallel and adaptive functional decline in TAS2R16?. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 288(1948), 20210346.

メディア掲载情报

産経新聞(5月31日 21面)、中日新聞(5月25日 6面)、日刊工業新聞(4月15日 23面)および毎日新聞(4月22日 9面)に掲載されました。