視覚認知において色と形の情報が統合される仕組み -位置に依存しない物体記憶の生成-

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齋木潤 人間?環境学研究科教授らの研究グループは、短期記憶内で物体の視覚特徴が統合されている証拠を初めて示しました。視覚記憶は外界の認知に不可欠な機能ですが、物体特徴の統合の仕組みは不明なままでした。本研究は、記憶課題中の反応時間分析と脳波解析を組み合わせることで、色と形の統合の仕組みに関する積極的な証拠を世界で初めて解明しました。

本研究成果は、2015年12月28日午前9時(米国太平洋標準時)に、米国科学雑誌「Psychological Science」のオンライン版で公開されました。

研究者からのコメント

「特徴が统合された认知」は一见自明のようですが、そのメカニズムは未解明です。今回の知见は、この「结合问题」の解明に向けた一つの手がかりになると考えています。

本研究成果のポイント

  • 视覚记忆における特徴统合の评価法を开発し、色と形の特徴の统合に関する明确な証拠を世界で初めて発见
  • 有力な理论の主张とは异なり、特徴统合された物体情报を位置に依存しない形で保持できることを明らかに
  • この成果の発展により、复雑な视覚情报の认知が必要な运転行动や机械操作の安全性向上、动きながら外界を认识するロボットビジョンシステムの高度化、ウェブページやスマホ画面を用いた复雑な视覚情报の効率的な伝达に役立つ手がかりを提供

概要

私たちは外界の事物を认识する际、色や形をバラバラの特徴ではなく、ひとつの物体として认识していると感じています。しかし、视覚情报処理の初期段阶では、物体を构成する各特徴は独立に処理されていることが知られており、物体特徴が脳の中で统合される仕组みは认知科学における未解明の问题の一つです。知覚においては、位置を共有する特徴が统合されると考えられていますが、统合された特徴が记忆の中で保持される仕组みは不明なままでした。

このような特徴が统合された物体记忆は外界の认知に有効と考えられますが、従来の视覚性ワーキングメモリ研究では、むしろ特徴が独立に保持されるという知见が优势でした。そこで、记忆内の特徴统合の明确な証拠を提出することを本研究の第一の目的としました。また、特徴统合の记忆における位置の役割を検讨しました。结合问题に関する有力な理论であるオブジェクトファイル理论では位置情报が不可欠と主张されており、この理论の妥当性を评価しました。

解析の结果、以下のことが明らかになりました。

  1. 记忆の符号化时には位置を共有する特徴のみが统合される。
  2. 统合された色と形は、记忆保持中に位置に関係なく利用できるようになる。

つまり、视覚情报を记忆に符号化する际は、位置の共有によって特徴が统合されるが、记忆に保持されている间に位置に依存しない表现が生成されるということを示しています。

色と形态の统合(上)と位置の共有効果(下)に関连した脳波成分の头皮上分布と时间変化。条件间の差分波形を表示。头皮上分布は、グレーの部分の时间帯の活动(狈400成分、300から450ミリ秒)を表示。特徴统合は前头部、位置共有効果は头顶、后头部にそれぞれピークを持つ。

详しい研究内容について

书誌情报

[DOI]
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Jun Saiki
"Location-Unbound Color-Shape Binding Representations in Visual Working Memory"
Psychological Science, Published online before print: December 28, 2015

  • 京都新聞(1月20日 25面)に掲載されました。