堀裕亮 博士(文学研究科)、藤田和生 文学研究科教授および村山美穂 野生動物研究センター教授らの研究グループは、JRA日高育成牧場の協力を得て、騎乗馴致(乗り馴らし)中のサラブレッド1歳馬167頭の馴致難易度(扱いやすさ)を行動観察により評定しました。行動観察をおこなった個体について、セロトニン受容体1A遺伝子(HTR1A)の型判定を行い、扱いやすさ得点との関連を分析したところ、HTR1A遺伝子の遺伝子型によって、扱いやすさに違いがあることがわかりました。
本研究成果は11月19日付けで、英国雑誌Animal Geneticsの速報版に発表されました。
研究者からのコメント
遗伝子型から个体の性质を予测できれば、それに合わせた饲育管理方法の开発や、乗马?セラピーホースなどの适性の评価などに応用が期待されます。さらに研究を进め、ヒトとウマがよりよい関係を筑くための一助となればと考えています。
概要
ウマは家畜动物として长い歴史をもつ动物ですが、ウマにおける遗伝子型と行动の関连についての研究は多くありませんでした。本研究では、乗り驯らし中のサラブレッド马の扱いやすさと遗伝子型との関连を分析しました。不安や恐怖の调节に関连する神経伝达物质である、セロトニンの受容体をコードする遗伝子を対象に、遗伝子型によって行动に违いが见られるかを分析しました。
扱いやすさと遗伝子型の関连を分析したところ、贬罢搁1础の遗伝子型によって扱いやすさが统计的に有意に异なることがわかりました。709番目の塩基は骋から础の置换ですが、このうち础の対立遗伝子をもつ个体はもたない个体に比べて扱いにくいことが判明しました。この効果はオスよりもメスでより顕着に见られました。

扱いやすさ得点と贬罢搁1础遗伝子型の関连。縦轴は驯致难易度で、得点が高ければ扱いにくいことを意味している。
详しい研究内容について
书誌情报
[DOI]
Y. Hori, T. Tozaki, Y. Nambo, F. Sato, M. Ishimaru, M. Inoue-Murayama and K. Fujita
"Evidence for the effect of serotonin receptor 1A gene (HTR1A) polymorphism on tractability in Thoroughbred horses"
Animal Genetics, Article first published online: 19 NOV 2015
- 京都新聞(12月10日夕刊 8面)に掲載されました。