若宮淳志 化学研究所准教授、西村秀隆 工学研究科博士後期課程学生、嶋崎愛 化学研究所研究員、村田靖次郎 化学研究所教授らは、佐伯昭紀 大阪大学准教授らおよびローレンス スコット 米国ボストンカレッジ名誉教授との共同研究として、独自に設計した座布団型構造をもつ革新的な有機半導体材料を開発し、これをp型バッファ層に用いることでペロブスカイト太陽電池の光電変換効率を著しく向上させることに成功しました。
本研究成果は、2015年12月10日(米国東部時間)、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」誌のオンライン速報版に掲載されました。
研究者からのコメント
若宫准教授
概要
ペロブスカイト太阳电池は、材料を基板やフィルムに涂る「印刷技术」により作製でき、従来の太阳电池に比べて製造コストを大幅に下げることが可能な新たな太阳电池として世界中で急速に注目を集めています。
これまでは、主に光吸収材料であるペロブスカイト层の作製法の改良により光电変换効率が向上してきました。その一方で、光により生成した电荷をペロブスカイト层から取り出すためのバッファ层材料については、优れた特性を示す材料は限られており、厂辫颈谤辞-翱惭别罢础顿とよばれる製造コストが极めて高い有机半导体材料が、依然、标準材料として用いられている状况でした。そのため、製造コストが安く、より优れた特性を示す有机半导体材料をいかに开発できるかが、本太阳电池の実用化への重要课题の一つとなっていました。
今回、「二次元(シート状)に骨格を拡张して座布団型の构造をもたせる」という独自の分子设计に基づいて、涂布型の有机半导体材料(贬狈顿-础锄耻濒别苍别)を新たに开発しました。これをペロブスカイト太阳电池の辫型バッファ层に用いることで、従来の球状の分子である标準材料(厂辫颈谤辞-翱惭别罢础顿)を用いた场合に比べても、最大で1.2倍の光电変换効率の向上を実现し、16.5%の光电変换効率を得ることに成功しました。

开発した座布団型半导体材料(贬狈顿-础锄耻濒别苍别)とペロブスカイト太阳电池特性
详しい研究内容について
书誌情报
[DOI]
Hidetaka Nishimura, Naoki Ishida, Ai Shimazaki, Atsushi Wakamiya, Akinori Saeki, Lawrence T. Scott, and Yasujiro Murata
"Hole-Transporting Materials with a Two-Dimensionally Expanded π-System around an Azulene Core for Efficient Perovskite Solar Cells"
Journal of the American Chemical Society, Publication Date (Web): December 10, 2015
- 京都新聞(12月13日 30面)に掲載されました。