大北英生 工学研究科准教授、伊藤紳三郎 同教授らの研究グループは、エネルギー変換効率19%以上の高効率ペロブスカイト太陽電池を用いて発電メカニズムを解析し、電流が発生する効率はほぼ100%であり、電圧も理論限界にまで向上可能なことを明らかにしました。
本研究成果は、2015年12月8日(英国時間)に独国科学誌「Advanced Materials」のオンライン速報版で公開されました。
研究者からのコメント
今回の研究成果により、ペロブスカイト太阳电池の発电特性を理论限界近くにまで向上させるための设计指针が明らかになり、シリコン太阳电池に匹敌するペロブスカイト太阳电池の开発が期待されます。
本研究成果のポイント
- 発电特性が変化しにくいペロブスカイト太阳电池の作製に成功し、电流?电圧のロス机构を明らかに
- 得られた设计指针を基に、エネルギー変换効率がシリコン太阳电池に迫るペロブスカイト太阳电池の実现に期待
概要
ペロブスカイト太阳电池は、材料溶液を印刷することで容易に作製できるため生产コストの大幅な低减ができる太阳电池として期待されています。最近では20%以上の高いエネルギー変换効率が报告され、次世代太阳电池の有力候补として注目を集めています。しかし、発电特性にばらつきが多く、测定条件によって素子特性が変わるヒステリシスという现象を示すため、素子构造と発电特性の関係を定量的に研究することができないという课题がありました。
大北准教授らは、比较的平滑で緻密なペロブスカイト膜の製膜法を用いて、エネルギー変换効率19%以上でかつ、ヒステリシスが小さいペロブスカイト太阳电池を再现性良く作製することに成功しました。
さらにこの素子を用いて解析したところ、电流については、変换ロスはほとんどないことが分かりました。一方、电圧については、电流の担い手である电荷キャリアを捕捉するサイト(トラップ)を介した电圧ロスが存在することが分かりました。このことから、トラップの密度を単结晶ペロブスカイト程度にまで减らすことができれば、开放电圧を理论限界近くにまで向上できることが明らかになりました。

CH 3 NH 3 PbI 3 ペロブスカイト太阳电池の断面厂贰惭像
下から顺に、贵罢翱透明电极层(负极)、罢颈翱 2 緻密层(电子输送层)、ペロブスカイト层(発电层)、蝉辫颈谤辞-翱惭别罢础顿层(正孔输送层)、金电极层(正极)から构成される。ペロブスカイト层は55飞迟%颁贬 3 NH 3 滨/笔产滨 2 の顿惭贵溶液から贵顿颁法により製膜した。図中のスケールバー(黒线)は500苍尘を表す。
详しい研究内容について
书誌情报
[DOI]
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Hyung Do Kim, Hideo Ohkita, Hiroaki Benten, and Shinzaburo Ito
"Photovoltaic Performance of Perovskite Solar Cells with Different Grain Sizes"
Advanced Materials, First published: 7 December 2015
- 科学新聞(1月1日 2面)に掲載されました。