狩野文浩 霊長類研究所特定助教および平田聡 野生動物研究センター教授は、チンパンジーとボノボが一度見た動画の内容を記憶していることを発見しました。本研究成果は、米国科学誌「カレントバイオロジー」誌に9月17日付で掲載されました。
研究者からのコメント
左から平田教授、狩野特定助教
この実験で用いた手法(アイ?トラッキングの手法)を用いて、自作のドラマを见せて、予测的な见方を调べることは、本研究において新たに开拓された手法です。言叶を持たない动物やヒトの幼児の记忆能力やその他高度な认知机能を调べるために、今后多様な研究领域において有用视されると期待できます。
概要
ヒトは、现在见ている出来事は、数分以内で忘れることが大半ですが、特に印象的な出来事は、长期(一日以上)にわたって、覚えていることができます。これはヒト特有の能力であると考えられてきました。今回私たちは、アイ?トラッキングという视线を记録する装置を使って、类人猿がヒトと同様に一度见た出来事を覚えていることができることを见出しました。
京都大学熊本サンクチュアリで暮らす、ボノボ6个体とチンパンジー6个体を対象に、アイ?トラッキングという手法を用いて、动画を见ている时の目の动きを记録しました。
まず、彼らにとって兴味深いと思われる动画を一回见せました。动画の中では、コスチュームの偽类人猿があるタイミングで飞び出てきます。これは类人猿たちにとってはショッキングな出来事です。次に24时间后、同じ动画をもう一回见せました。その结果、类人猿たちは、その偽类人猿が飞び出してくる前に、その飞び出してくる场所を予测的に见ました。
このことから类人猿が一度见た出来事を长期-少なくとも1日隔てて覚えているという明确な証拠を见い出しました。

テスト風景: モニターに動画が提示されて、その下に設置されたアイ?トラッカーで視線を記録する。アクリル透明パネル越しに、ジュースを少しあげて、類人猿の目の位置を固定する。類人猿はジュースを飲みながら、動画を見る。
详しい研究内容について
书誌情报
[DOI]
Fumihiro Kano, Satoshi Hirata
"Great Apes Make Anticipatory Looks Based on Long-Term Memory of Single Events"
Current Biology 25, Published Online: September 17, 2015
- 朝日新聞(9月27日 38面)、京都新聞(9月18日 23面)、産経新聞(9月18日夕刊 10面)、日本経済新聞(9月21日 12面)、毎日新聞(9月18日 29面)および読売新聞(9月18日 35面)に掲載されました。