このたび、丸岡啓二 理学研究科教授および堀江武 名誉教授が、第108回(平成30年)日本学士院賞を受赏することになりました。日本学士院賞は、学術上特に優れた研究業績に対して贈られるもので、日本の学術賞としては最も権威ある賞です。
授赏式は平成30年6月に东京で行われる予定です。
丸岡啓二 理学研究科教授
丸冈启二教授は、昭和51年京都大学工学部を卒业、同大学大学院工学研究科を中途退学、同55年にハワイ大学化学科博士课程を终了し、笔丑.顿.を取得しました。その后、同55年7月名古屋大学工学部助手に採用され、同60年7月同讲师、平成2年1月同助教授、同7年4月北海道大学大学院理学研究科教授を経て、同12年4月より京都大学大学院理学研究科教授に就任し、现在に至っています。
今回の日本学士院賞の受赏題目は「キラル相間移動触媒の創製」です。丸岡教授は金属を含まず、かつ精密合成を可能にする有機分子触媒にいち早く着目し、環境調和型のキラル相間移動触媒である「丸岡触媒 ? 」や、さらに高活性の「简素化丸冈触媒 ? 」の创製に成功しました。その结果、数多くの天然型および非天然型アミノ酸、ジアルキルアミノ酸など、新しい医薬品の开発に向けたキラル物质の选択的かつ大量合成法を确立することができました。たとえば、生理活性アミノ酸であるパーキンソン病治疗薬や抗生物质などが容易に合成できます。これらの新しい触媒は、既に试薬化、商标登録され、国内外の大手の试薬会社を通じて広く大学や公司の研究室で使われています。また、10年程前から日本公司が非天然型アミノ酸合成の事业化を开始し、现在、国内および欧米の製薬会社から新规医薬原料や中间体用としての非天然型アミノ酸の受託合成を请け负っており、そのうちの几つかは既に治験薬の段阶に至っています。
なお、丸岡教授の卓越した業績に対し、これまでも平成22年中日文化賞、同23年アーサー C. コープ?スカラー賞、紫綬褒章、フンボルト賞、同24年東レ科学技術賞、同29年高砂香料国際賞「野依賞」など、多数の賞が授与されています。
堀江武 名誉教授
堀江武名誉教授は、昭和40年京都大学农学部农学科を卒业、同年农林省农业技术研究所物理统计部研究员として採用、同52年农林省农业技术研究所物理统计部主任研究官、同56年京都大学农学博士の学位を取得、同58年农林水产省农业环境技术研究所环境资源部主任研究官、同59年农林水产省北陆农业试験场环境部农业気象研究室长を経て、同60年京都大学农学部教授に就任。その后、平成3年京都大学农学部附属农场长?亜热帯植物実験所长、同9年京都大学评议员の要职を务めたのち、同18年に定年退职、京都大学名誉教授の称号を授与されました。また、定年退职后は独立行政法人农业?食品产业技术総合研究所理事长に就任し、同26年まで务めました。
今回の日本学士院賞の受赏題目は「アジア稲作に及ぼす地球温暖化の影響に関するシステム農学的研究」です。堀江名誉教授は、アジアの基幹食料であるコメの生産に及ぼす地球温暖化の影響と適応策を明らかにする目的で、アジアの主要な稲作気候帯をカバーする水稲の品種?地域比較栽培ネットワーク試験、CO 2 浓度を富化した温度倾斜型温室での水稲に対する颁翱 2 浓度と温度の复合処理実験などによって得られたデータを解析し、大気环境が水稲の生育?収量に及ぼす影响を高い确度で予测する数理プロセスモデルの开発に成功しました。このモデルに、大気大循环モデルが予测する大気颁翱 2 浓度の倍増时の気候値を入力し、アジア各地域の水稲生产に及ぼす地球温暖化の潜在的影响を明らかにしました。さらに、高颁翱 2 浓度?温暖化気候に高い适応性をもつ品种开発の目标形质とその遗伝资源を提示しました。これらの研究成果は、滨笔颁颁报告书などを通じて、温暖化防止の国际世论の形成に贡献するとともに、内外の様々な研究机関で地球温暖化と食料问题の解决を目指す研究に活用されるなど、先导的役割を果たしてきました。
また、堀江名誉教授は、アフリカ稲センター(WARDA)の理事、国際稲研究所(IRRI)のコンサルタント、「地球温暖化と農業?食料安全保障」などの国際プロジェクト研究の組織委員、Field Crops Research, Agricultural Systems など多くの国際学術誌の編集委員(長)として国際農業研究に貢献するとともに、その卓越した業績に対し、これまでも昭和61年日本農業気象学会賞、平成11年日本農学賞、読売農学賞、同15年アサヒビール地球環境科学研究賞など、多数の賞が授与されています。
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受赏理由等詳細は、 をご参照ください。