湊 長博 総長
湊 長博 総長

 新年あけましておめでとうございます。
 昨年も、コロナに始まり、コロナに终わるという1年でした。昨年は都合3回、感染の波がありましたが、本学ではその合间を缝うように、3月、4月は入学式、卒业式をなんとか无事に挙行し、10月からは対面授业を再开しました。夏场には附属病院に大変顽张っていただき、本学教职员をはじめ、多くの市民にワクチン接种を実施しました。この様にしてなんとか乗り切ってきましたが、昨年末から、また、新たな変异株が出てきているという状况です。この変异株については、海外から断片的な情报が入ってきていますがまだその特性については不明の点もあり、注意深く见守って、临机応変に対応していきたいと考えています。
 また、昨年は、研究にかかる大きな不祥事がありました。このような不祥事が再び起こらないよう、教职员一体となって全学的にシステム改革を进めているところです。
 さて、今年はいよいよ创立125周年の年になります。1897(明治30)年に、勅令により京都帝国大学の新设が発布されました。政治の中心から离れた京都の地に、自由で新鲜な、そして本当に真理を探求し学问を研究する学府としての大学をつくろうという机运が高まり、时の文部大臣、西园寺公望公の努力によって、勅令発布にいたりました。当时の新闻には「东京の帝国大学に対して関西の文运を振兴せしめ『官臭を帯びざる』豪杰を养成することができる」という记事もあります。我が国でも独自に本当の学问を进めるべきという大きな社会の机运の中で、この京都帝国大学ができたといっていいと思います。我々は令和4年の今、そういう长い歴史をもつ大学で働いているということをあらためて认识しておきたいと思います。
 本年は、本学にとって节目になる非常に重要な年です。今、国立大学をどのように强化していくかということについて、国を中心に议论されていますが、国立大学がこれほど注目されるというのはこれまでなかったと思います。国立大学の强化が日本全体の命运を握る非常に重要な要素であるということで、これから国立大学を巡り、様々な具体的な议论が起こってくるであろうと思います。我々には、非常に大胆な改革が求められてくるでしょう。そのような状况で、私は昨年、「任期中の基本方針 ―世界に輝く研究大学を目指して―」を公表しました。特に大学の运営に関连して、以下の3点を强调しておきたいと思います。
 1点目は、意识、マインドの改革です。大学という组织は教员と职员が车の両轮であり、どちらの车轮にトラブルが発生しても车は真っ直ぐに进みません。この大事な时期に教职员が一体となって共通の目标に向かって、协力して进んでいかなければなりません。
 2点目は、职场环境をオープンにするということです。昨今は、急速なテンポで様々な课题が突きつけられてきます。その様な状况では、「前例がない」「やったことがない」というのは通用しません。また、次から次へと新しい问题が起こる中で、その都度、临机応変に対応していかなければならない、そのために重要なのは、组织の垣根を超えて全体としてどれだけオープンな议论ができるかということです。
 3点目は、多様性の尊重です。本学では、若手、女性、外国人の各教职员を増やしていくことを目指して、その対策を进めてきています。これは単に世の中の风潮がそうだからということではなく、复雑で困难な今の时代においてこそ、多様な意见が出てくることが极めて大事だからです。色々な人が多様な立场から自由に発言する、そこから物事を决めていかなければ非常に危ういと思います。この様な时代だからこそ、年齢、性别、あるいは経験、その様なものに関係なく、とにかく皆が积极的に意见を発することが重要です。そのプロセスの中で各人の成果がきちんと评価される体制を整えていきたいと考えています。
 创立から125年目を迎えた京都大学、この歴史ある大学が、もう一度原点に立ち返り力强く若々しい研究大学として新しい姿で成长発展していくことを、全教职员の共通の目标として、一致団结してこの难局を乗り切っていきましょう。
 本年もどうぞよろしくお愿いいたします。

令和4年1月5日
京都大学総长
湊 長博
(令和4年1月5日(水曜日)开催『総长年头挨拶』より)