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京都大学メールマガジン Vol.22
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目次:
◆花の見えない庭 尾池和夫
◆お知らせ
◆大学の動き
◆研究成果
◆イベントのお知らせ
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◆ 花の见えない庭 2008年4月23日 尾池和夫
四月初めのある日のことである。
四条花見小路を南へ300メートルほど行くと建仁寺の北の門がある。都をどりの会場へ行くのには、この道を通るのだが、少し早めに着いた。どうせ前の回が終わるまでは入場できないのと、花見小路を車とせめぎ合いしながら歩いて疲れたので、建仁寺の境内に久しぶりに入ってみた。
京都大学の学生らしい二人連れがしきりとこちらを見ている。何か気にはしている様子だが、とくに挨拶をするでもない。なかなかタイミングが合わなくて結局だまって通り過ぎた。しかし、一般的に京都大学の学生たちは、最近、町で会ってもよく声をかけてくれる。
おどろいたのは、花見小路に花見客などが溢れていて、歩くのさえ困難だったのに比べ、建仁寺の境内にはほとんど人がいないということである。しかし松の緑の中に桜があって、実にきれいである。とびきり贅沢な花見の場所を発見した喜びを感じて、しばし佇んでいた。建仁寺の末寺である高台寺などでは、庭をライトアップしていて、夜遅くまでたくさんの観光客で賑わっているのに、風神雷神が展示してあるこの寺には人がほとんどいない。日本人には蛾の性質があって、灯を点けると皆そちらへ集まって行くのだと思う。
塀に在釜の張り紙がしてあって、塔頭でお茶の会があるようだ。和服の女性が立っている門が見える。この境内には大きな石碑の「茶碑」が建っている。建久2年(1911年)にお茶が中国から伝えられたという故事を記した説明もある。
建仁寺は建仁2年(1202年)、源頼家が寺域を寄進して、栄西禅師を開山として建立された。栄西禅師は、中国から茶種を持ち帰った。日本において茶の栽培を奨励し、喫茶の法を普及させた。開山以前、もともと茶は日本に存在した。茶の種が入ったのは奈良時代と言われる。栄西は、それまで上流階級だけに限られていた茶を、広く一般に広めたと言われている。
入場料500円を払って本坊に上がり、「○△□乃庭」を見て、俵屋宗達の風神雷神の複製を見る。方丈の南へ廻ると、そこには潮音庭がある。京都中が桜の花の真っ盛りで、町のどこに行っても、どこかの方角に桜が見えているという季節であるが、この庭では、大きな庭であるのに、どちらを見ても桜がまったく見えないという空間が拡がっている。これがなんとも貴重な空間に見える。さらに南の法堂に入り、天井の双龍図を見上げる。
私は昔、建仁寺の屋根をふく瓦を寄進したとき、大きく「防災」と書いた記憶がある。その瓦はどこかに、もうふき込まれているのかもしれない。
都をどりの季節には、祇園甲部歌舞練場の中庭に紅しだれが咲く。昔の、ゆがんだ玻璃の窓から紅しだれを見るのが好きで、この歌舞練場を訪れる。今年は源氏物語をテーマにして舞台が構成されている。長唄で京舞井上流の伝統がみごとに八景を舞うのだが、第五景だけは舞台の浄瑠璃で、白ぬりの六条御息所がなかなかの迫力である。
都をどりの後、円山公園のしだれ桜を見た。見るからに気の毒になるほど枝を落とされてしまった。観光客がしだれ桜の丸い形を写真に収めたくて、桜の廻りでいい角度を探しているが、あきらめて欠けた姿を映している。それを見ていて、写真を撮るのはやめた。
国立近代美術館に一枚の絵があり、京都帝国大学が創立された1897年の円山公園のしだれ桜が描かれている。その廻りに篝火が焚かれて、みごとに夜桜が照らされている。その絵には実にみごとなしだれ桜のふっくらとした丸い姿が描かれているのを思い出した。
青蓮院の巨大な樟を見て、東山の駅から地下鉄に乗って帰途についた。久しぶりに休日であるという気分を味わうことができた一日だった。
 
◆お知らせ
○京大広報 号外(2008年4月)[卒業式等]を掲載しました
○京都大学ホームページをリニューアルしました
◆大学の动き◆
○平成20年度学部入学式を挙行
○平成20年度大学院入学式を挙行
○身体障害学生相谈室を开室
○京都大学と京都市が野生动物保全に関する教育及び研究の连携协定を缔结
○宇宙航空研究开発机构と京都大学の连携协定缔结について
○オープンコースウェア驰辞耻罢耻产别公开について
○名誉教授称号授与式を実施
○第1回颈笔厂细胞研究产业応用恳话会を开催しました
○颈笔厂细胞研究センターのホームページができました
○世界标準确立を目指す京都大学の颈颁别惭厂に、最初の外国人教授が赴任
○京都大学大学院人间?环境学研究科と京都市および长浜市との连携交流协定调印について
○本学西部构内の课外活动施设新営工事に伴う遗跡発掘调査现地説明会について
○京大「医学領域」発の創薬系ベンチャー 株式会社 京都コンステラ?テクノロジーズ設立!!
○「理科大好きな先生に変身する叁日间」プロジェクトが「免许状更新讲习プログラム开発事业委託事业」に选ばれました
○筑波大学计算科学研究センター、东京大学情报基盘センター及び京都大学学术情报メディアセンターが连携?协力の推进に関する协定を缔结
◆研究成果◆
○天の川银河の巨大ブラックホール、300年前の眠りからの目覚め
○颈笔厂细胞研究の推进体制整备の进捗状况及びマウス颈笔厂细胞の分配事业开始について
○中赤外自由电子レーザーの発振に成功
○日本人正常新生児にはビタミン顿欠乏症が高频度に见られ、母乳栄养児で特に改善が遅れる
○贪食作用のキー分子の働きをライブ画像化することに成功
◆イベントのお知らせ◆
○総合博物館 2008年春季企画展 「京の宇宙学―千年の伝統と京大が拓く探査の未来―」
○京都大学春秋讲义
○クロックタワーコンサート ~京都大学と京都市立芸術大学による交流の午後~を開催します
○第26回 こころの未来セミナー 鎌田東二 先生
○平成20年度霞が関特別講演 日本の未来を創る(京都大学?人事院)
○エネルギー理工学研究所 第13回公開講演会 環境にやさしいエネルギー理工学
○iCeMS カフェ京都の町家で科学についてお話しませんか?『見えないものを観る~からだの中の分子のはたらき~』
○平成20年度 第1回 花山天体観望会
○霊長類学発祥60周年記念 平成20年度 京都大学霊長類研究所 京都公開講座 「フィールドからラボへ」 を開催します
&驳迟;&驳迟;その他のイベント情报はこちらをご覧ください。
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京都大学 秘書?広報室 ksens521@ の後にmail.adm.kyoto-u.ac.jpを付けてください。
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